2009/10/30

several worlds.

毎回感想を淡々と述べさせてもらっていますが、
たくさん、そこかしこに思い及ばす処があります。

文章を引用しても、伝わらない。
もしかすると
読んでも思い当たる経験が無いと判らない。

判らなくても心は動く。
人の数だけ、世界がある!

2009/10/26

幸福な王子


☚昭和四十三年一月十五日発行
平成二十年十一月三十日七十四刷
オスカー・ワイルド著
西村孝次訳

幸福な王子。
美しさと、清らかさと、儚さ。
目頭にじわっと来た。






一番印象に残ったのは「王女の誕生日」に登場するこびと。
そのこびとが、初めて自分の姿を知った時。


全体をとおして、美しさと醜さを思った。

誕生日の子どもたち


☚2009年6月10日第一刷
カポーティ著
村上春樹訳

短編が6つ集まっている。
どうしてよいものか不思議な話、あっけない話、郷愁を帯びた話。
これからの季節に読むのがいい感じだと思いました。

2009/10/24

坊っちゃん


☚昭和二十五年 一月三十一日 発行
平成二十一年 五月二十五日 百三十九刷
夏目漱石









何たることでしょう。
坊っちゃんたる人物を知らない。
坊っちゃんの頑なな性質。

あのような人間が、どこかにいるか。
そして、あのような愛が、存在するか。
その後は。

無理矢理に一本義が存在して欲しいとは思わない。
坊っちゃんは清よりずっと若いんだし、
わたしが清だったら
坊っちゃんの小供のお顔だって天国から見たい。

しかしながら
そんなモノだって在りうることが許されている現代に
わたしは生きよう。


漱石は、何故あのような愛を描いたのかな。


"幸福な王子"如く、
清と一緒に養源寺で眠っているか。

2009/10/18

MY FATHER'S DRAGON


☝2000年2月10日 第一刷発行
2008年11月28日第十二刷発行
by Ruth Stiles Gannett

エルマーの冒険。

いやはや、後ろに訳注があるから、かろうじてなんとか読めました!
英語で読むと、自分の思っている以上に大袈裟な表現だったりしてとても面白い。
そして自分の中にキャラクターを作りやすいように感じました。

また数ヵ月経ったら読んでみよう!
スイミーみたいに読める部分が増えているかもしれない!
読み返すと、さっきは分からなかった部分がハッと分かったりするから不思議です!
楽しい!!!

そして、この本は茂木さんと、有吉さんにサインを貰った本なのです!!
へへっ…❣❣

"When facts receive
   fantasies privail. Kenichiro Mogi 30 Sept. 2009."

有吉さんは、カメラ(映像を投影するやつ)の絵を描いて下さいました!!

ありがとうございます♫✦✿

2009/10/10

草枕


☚昭和二十五年十一月二十五発行
平成二十年十一月十五日 百三十八刷
夏目漱石


ひゅい と、深い韻や響きを残して終わった。
余は傍観者である。非人情の旅の途中。

草枕は、カーヴァーのような、鋭く短い響きの連続のように感じました。
でも、もちろん、カーヴァーとは全く違う色。
この響きは、読まぬ事には感じ得られません。
初めての新しい世界でした。

好きなまとまりはいくつもあり、
紹介もしたいのですが
是非これは全体を通して感じて欲しい。

草枕。草枕。

三四郎


☚昭和二十三年十月二十五日 発行
平成十九年十一月二十日 百三十七刷
夏目漱石


三四郎が高校を卒業し、東京へ上京して来るところから始まる。
三四郎が感じる東京という世界の目まぐるしいスピード、東京の人間、美禰子、また、自分の周りにいる人間との距離感が、わたし自身と近い感触を持った。

三四郎に届く母からの手紙、田舎の様子はいつも変わらないという印象を持つ。
それが古くさくも感じられ、それが大変ありがたくて、温かきもののでもあるというもどかしさ。
漱石は東京の人間なのに何故こんなに理解しているのだろう??

美禰子は理解し難き最上の女性として三四郎の視点から描かれている。
美禰子は賢い現実的な女性の最たるものだとわたしは感じた。
そして、三四郎は自分の距離感をもって美禰子を愛する。
美禰子はその三四郎のスタンスでは間に合わないという様な、そんなに気長な事ではこの先が思いやられる、という感じだったのではないかな。
その想いは野々宮さんに対してもそうだったのだろう。
美禰子は超現実派だけども、ロマンスも理解している人間。
だから出会ってしまった以上、三四郎がひっかかるから、三四郎と時間をもった。
でも、三四郎は美禰子の求めるスピードに追いつかなかった。

賢い女性なら、美禰子になった方がいいのだろう。
あいにくわたしは美禰子じゃない。

美禰子は三四郎と出会った時の着物で描かれる事をした。

三四郎との出会い・時間の刻印。
美禰子は現実的だから。賢い女だから。
三四郎はその辺の女の気持ちをまだ理解しきれていなかったから、
美禰子が”分からな”くて”苦痛”に成り得た。

三四郎はずっと自分の時間軸の中に居る。

美禰子は選んだ様に思われるかもしれませんが、
実際、美禰子に寄り添う気持ちや覚悟があったのは婚約者だけだったのでしょう。
きっと、好きだの、愛してるだの、たくさん溢れている。
でも、時間が合う、タイミングが合うみないなものは、それと離れたところにあって、
もっと現実的に確かなものだ。
ちなみに、好きという気持ち、愛、結婚ということを軽んじているのではありません。
それらが無い世界なんて、生きていないも同然です。

迷羊(ストレイシープ)から、現実的に美禰子は一歩遠ざかった。
三四郎はまだ、迷羊(ストレイシープ)の中に居る。

そんな気がする。

December 30 2008 クオリア日記”スケルツォの部分の飛躍”
も読んでみて下さい。

2009/10/01

Swimmy


















☟☝読めるようになっていた!

CARVER'S DOZEN


☚1997年10月18日初版
 2001年2月10日再版

ちょっと衝撃的だった。
いろんな凄味を感じた。

カポーティーもけっこう暗かった。
カーヴァーも暗い。
共通して鮮烈な尊い青さ・若さみたいな
匂いを、わたしは感じる。
強くて苦い。

でも、なんかそこに筆者たちの深い言葉に現せぬ想いが潜んでいる。

それがとても鋭利で、ドスが効いていて、苦くて、気が滅入る様なものもあるから、本はHappy!
主義の人は無理かもしれないです。
1回読んだだけだったのに、記憶にこびりついた。

なぜ英語のネイティブは、見知らぬ人にあいさつをするのか?


☚7月24日第一刷発行

これには、英語の醍醐味みたいな事がいっぱい盛り込んであります。
appleに、あんな意味があったとか、
わたしの好きな俳句”古池や 蛙飛び込む 水の音”とか
平家物語の序文とか
翻訳、逆翻訳などを通して
日本語の理解も深まるような気がした。
受ける印象も違った。
冠詞についても詳しく教えてくれる。


>①ドナルド・キーン訳
The ancient pond
A frog leaps in
The sound of the water.

②小泉八雲訳
Old pond
Frogs jumped in
Sound of water.

③新渡戸稲造訳
An old pond
A frog jumps in
A splash of water.