☛わたしの大好きな絵本、第二弾。
> あるとき、ねこは どろぼうの ねこでした。ねこは、どろぼうなんか だいきらいでした。
どろぼうは、ねこと いっしょに、くらい街を ねこのように しずかに 歩き回りました。
どろほうは、いぬのいる 家にだけ どろぼうにはいりました。
いぬが ねこに ほえているあいだに、どろぼうは 金庫を こじあけました。
ある日、ねこは、いぬにかみころされてしまいました。
どろぼうは、ぬすんだ ダイヤモンドと いっしょに ねこをだいて、夜の町を 大きな声で なきながら、歩きました。そして 家に帰って、小さなにわに ねこをうめました。
あるとき、ねこは ひとりぼっちの おばあさんの ねこでした。ねこは、おばあさんなんか だいきらいでした。
おばあさんは、毎日 ねこをだいて、小さなまどから外を 見ていました。
ねこは、一にちじゅう おばあさんの ひざの上で、ねむっていました。
やがて、ねこは 年をとって しにました。よぼよぼの しんだねこを だいて、一日じゅう なきました。
おばあさんは、にわの 木の下に ねこを うめました。
あるとき、ねこは 小さな 女の子の ねこでした。
ねこは子どもなんか だいきらいでした。
女の子は、ねこを おんぶしたり、しっかり だいて ねたりしました。ないたときは、ねこの せなかで なみだを ふきました。
ある日、ねこは 女の子の せなかで、おぶいしもが 首にまきついて、しんでしまいました。
ぐらぐらの頭に なってしまった ねこを だいて、女の子は 一日じゅう なきました。そして、ねこを にわの 木の下に うめました。
ねこは しんぬのなんか へいきだったのです。
あるとき、ねこは だれの ねこでも ありませんでした。
のらねこだったのです。
ねこは はじめて 自分の ねこに なりました。ねこは 自分が だいすきでした。
なにしろ、りっぱな とらねこだったので、りっぱな のらねこに なりました。
どんなめすねこも、ねこの およめさんに なりたがりました。
大きなさかなを プレゼントする ねこも いました。
上等のねずみを さしだす ねこも いました。
めずらしい またたびを おみやげにする ねこも いました。りっぱな とらもようを なめてくれる ねこも いました。
ねこは いいました。
「おれは、100万回も しんだんだぜ。いまさら おっかしくて!」
ねこは だれよりも 自分が すきだったのです。
たった 1ぴき、ねこに 見むきも しない、白いうつくしい ねこが いました。
ねこは、白いねこの そばに いって、
「おれは、100万回も しんだんだぜ!」
と いいました。
白いねこは、
「そう。」
と いったきりでした。
ねこはすこし はらをたてました。なにしろ、自分がだいすきでしたからね。
つぎの日も、つぎの日も、ねこは、白いねこの ところへいって、いいました。
「きみは まだ 1回も 生きおわって いないんだろ。」
白いねこは、
「そう。」
と いったきりでした。
ある日、ねこは、白いねこの 前で、くるくると 3回ちゅうがえりをして いいました。
「…